その2・ナリタトップロード〜いまいち君の輝く時。後編〜

 菊花賞京都競馬場で行われる3000mの長丁場。
牡馬クラシック最後のレース。
その長距離勝負から、血統による勝ち負けが決まったり
夏に力をつけた上がり馬が勝ちをさらっていくケースも少なくない。
異質な面を含んではいるが、3冠レースの中で
「最も強い馬が勝つ。」とも言われているレース。


ナリタトップロードの父、サッカーボーイの最長連対距離は2000m。
マイル戦で驚異の強さを発揮した父をもつナリタトップロード
この距離の壁は克服できるのか?
今回の周囲の評価は3番人気。
3戦で一番評価を落とした形となった。


最内枠からスタートのナリタトップロード
鞍上の渡辺Jはこれまでの戦いとは違う戦法をとった。
前につける競馬。最内枠を活かし、前での競馬。
3強の中で1番前につけ、レースの流れに乗った。
レースは近年では例をみないスローペースでの流れとなった。
ナリタトップロードに有利な流れ。・・勝てる!!
最終コーナーを回ると、経済コースを通り最短距離で進むナリタトップロード
ゆうゆうと先頭に立つ、がライバルが追いかけてくる。
春の王者、テイエムオペラオーだ。
脚を余すことなく使っているナリタトップロードに迫る。ゴールまであと少し。
赤い帽子が猛然と追い上げてくる。ナリタトップロードは、それをしのぎきった。
今まで敗れて来たクビ差での勝利。鞍上が思い切っての、作戦の勝利。
展開が向いたこともあったが、まぎれもないナリタトップロードの勝利であった。
結局、この年のクラシックは、3強がそれぞれ勝ちを分け合う形となった。


菊花賞は本当に強い馬が勝つ。」
その言葉とは裏腹に、ナリタトップロードはその後足踏みを続ける。
菊花賞後の有馬記念グラスワンダーのグランプリ3連覇を許し、自身もいいところなく7着。
翌年からは、さらに厳しい現実を突きつけられる。


京都記念阪神大賞典天皇賞。休み無く3戦を使い続けたナリタトップロード
1度上ったG1覇者への高みに再度挑んだが、結果は2着1回3着2回。
そのいずれもが同世代ライバル、テイエムオペラオーに敗れたものであった。
言い知れない敗北感を感じるナリタトップロード
秋もステップの京都大賞典、それから天皇賞と挑んだが
またもテイエムオペラオーに勝ちをさらわれる。
その後テイエムオペラオーのいない舞台、ステイヤーズSに出走。
圧倒的支持を受けたナリタトップロードであったが、ここも4着に敗れる。
鞍上が変わって、年が変わって。それでもナリタトップロードは勝てなかった。
菊花賞後は1999年暮れから2001年はじめまで全敗を喫したナリタトップロード
ここまで9連敗。


勝てない日々が続いたナリタトップロードに再度チャンスが訪れる。
2001年2戦目の阪神大賞典、鞍上は再び渡辺J。
ここでナリタトップロードは自身の最高のパフォーマンスを披露する。
まさに、見るものを圧倒する快勝劇。タイムは文句なしのコースレコード
菊花賞馬が輝きを取り戻した。次は勝てる。テイエムオペラオーに勝てる!!


雪辱を誓った2度目の春の天皇賞
栄光を手にしたあの菊花賞のときのように・・ナリタトップロードは先行策に出た。
2度目のG1勝利へ・・懸命に走ったナリタトップロードだったが、結果は3着に敗れた。


秋は再び勝ちから遠ざかったナリタトップロード
その年の有馬記念、10着に惨敗したナリタトップロード
そのレースを最後に、永遠のライバル、テイエムオペラオーは引退した。
年齢から来る衰え・・ナリタトップロードもそろそろなのか?


それでも、翌年もナリタトップロードは元気にターフに姿を現した。
世代の生き残り、G1馬としての意地をかけて走り続けた。
現役生活最後の年、ナリタトップロードはG2で3勝をあげるも、
G1にはあと1歩のところで手が届かなかった。
通産成績30戦8勝。G1は1勝にとどまったが、記憶に残る馬であった。


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この馬は正直取り上げるほどの名馬ではないと思ってます。(爆)
同世代のテイエムオペラオーの方が実績もはるかに上ですし。
でも、この馬には感じるものがありましたね。
それは、文章中にも何回か書きましたが、この馬の「意地」の部分だと思ってます。
何度負けても、戦い続ける。最後までライバルをおびやかし続ける。
競馬にはそういう馬が必要で、それがよりファンをひきつけているんだなと感じてます。
最高のライバルを演じきったナリタトップロードに、心から拍手!!