その2・ナリタトップロード〜いまいち君の輝く時。前編〜
さて、名馬の影にはライバルがいる。
クラシックにおける世代間でのしのぎあいはまさに見物である。
そんな中、今回取り上げるのはナリタトップロード。
3強時代と言われた99年の1頭である。
父は内国産、末脚が語り継がれるサッカーボーイ。
印象的なレースぶりとは裏腹に、父としての活躍馬はぱっとしたものがいなかった。
ナリタトップロードは98年12月にデビュー。
デビュー戦を2着で落としたものの、同月の新馬2戦目に勝利。
鞍上は若手の渡辺Jであった。この後、長いコンビを組むこととなる相手である。
年明け2戦目のきさらぎ賞。
朝日杯3歳S2着、推しも推されぬ1番人気のエイシンキャメロンが相手。
ここをクビ差制し勝利。一躍クラシックでの注目を集める。
さらに皐月賞トライアルの弥生賞、本番と同じ舞台で1番人気アドマイヤベガに
1馬身差の勝利を飾る。重賞2連勝。皐月賞が見えた1戦だった。
そして皐月賞。弥生賞で破ったアドマイヤベガとの評価は覆らず、2番人気。
気負い無くG1勝利に挑んだ。
ラスト3ハロン、メンバー中最速の脚を使うも
勝ったのは毎日杯からクラシック追加登録で望んだテイエムオペラオー。
上がりの3ハロンは奇しくも同じであった。
結局ナリタトップロードは弥生賞で下していたオースミブライトにもハナ差先着され3着。
この敗北によりナリタトップロードのクラシックリベンジロードが幕を開けることとなる。
クラシック2戦目、1番の大舞台ダービー。
ここでの1番人気はアドマイヤベガと分け合ってナリタトップロード。
その堅実な戦いぶりに「今度こそ」を期待したファンが多数いた。
レースは早い流れとなり、先行策をとった馬が崩れていく中、
直線先頭に立ったのは中団で控えたナリタトップロードであった。
ゴールが近づく。名誉として讃えられるダービー馬の称号まであと1歩。
その時、驚異的な末脚で追い上げる馬。アドマイヤベガだ。
並ぶ間はなかった。アドマイヤベガがクビ差突き抜けた瞬間がゴールだった。
武豊は2年連続のダービー制覇。アドマイヤベガは母子クラシック制覇。
敗れたナリタトップロードには悲痛感だけが残された。
どうしても勝てない・・G1制覇の高い壁だけが人馬共に越えられなかった。
全てを切り替えて最後のクラシック菊花賞への挑戦が始まった。
4ヵ月後の休み明け第1戦、京都新聞杯。
1番人気を背負いながらまたしてもアドマイヤベガにクビ差敗れた。
力の差は完全に開いてしまったのか?
ナリタトップロードにはもうチャンスは残されてはいないのか?
世代3強と呼ばれる意地が、ナリタトップロードを菊花賞の舞台に運んでいた。